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「3Dプリンター」の記事一覧

FRI 14 October 2022

トルメキア軍戦列艦を作る ~3Dプリント編その1~

釣りの合間に食べるおやつ。

外で食べるといつも以上に美味しく感じますよね。

スタッフKATOです。

こんにちは!

 

「トルメキア軍戦列艦を作る」第2回は3Dプリンターでのプリント編その1。

この企画の目玉ですね!

第1回で作成した3Dデータを使い実際にプリントします。

以前プリントしたブラックバスフィギュアと較べサイズも段違いに大きく、さらにパーツを複数に分割して組み合わせる構造。

上手くプリントされるのか全く分かりません。

全てが未知数。

 

しかし百聞は一見に如かず。とにかくやってみます。

使用する3Dプリンターはelegoo社製mars 2 pro

レジンは同じelegooのStandard Photopolymer Resinのグレー

印刷設定はメーカー推奨条件としました。

 

そして見事に失敗しました!

プリント自体はちゃんと完了し、一見するとよさげに見えたのですが…

モデルの歪みがひどく組み合わせる事ができません。

細部のディテールもヨレヨレ。

このままではとても使えたものではありません。

原因は何なのでしょう?

印刷条件?サポートの付け方?

プリントした物体を観察していると、歪みの多くはサポートが付いていたサポート面に集中していることに気付きました。

早速Googleで検索して調べてみるとビンゴ!

光造形の3Dプリンターにおいてサポート面が荒れるのは良く起こる現象とのこと。

これを回避するには印刷条件の微調整や、サポートを付ける場所を工夫するなどの対策が必要なようです。

そしてもう一つ。

 

レジンそのものの性能。

 

現在一般販売されている3Dプリンター用のレジンには高価な物から安価なものまでたくさんあります。

私は最初「まだ初心者だし高価なレジンはちょっと…」という思いから、安価なレジンを使用していました。

しかし良く調べてみると、高価なレジンには様々な特性が付加されており、高いなりの価値がありそう。

特にサポート面の荒れが少なく高精細に仕上がるとされるレジンに興味が湧きました。

早速自腹購入。

それがこちら。

resioneさんのM58というレジンです。

youtube等でレビューを見たのですが、かなり高性能なようです。

倍近い値段のレジンにドキドキしながら、メーカー推奨条件で印刷開始。

すると…

いい!

以前の物とは比較にならないほどシャープに造形できています。

問題のサポート面もかなり綺麗、この程度ならすり合わせすればカッチリ組めそうです。

手ごたえを感じられたところで、今回はここまで。

次回は全パーツをプリントしていきます!

それでは!

TUE 04 October 2022

トルメキア軍戦列艦を作る ~モデリング編~

10月になりました。

木山製作所松戸工場では道路に面した植え込みに金木犀が植えられています。

今まさにオレンジ色の小さな花をたくさんつけています。

秋ですね。

スタッフKATOです。

こんにちは!

 

前回のブログで宣言した3Dプリンターによるトルメキア軍戦列艦建造計画。

今回から「トルメキア軍戦列艦を作る」というタイトルで紹介していきます。

第1回はモデリング編です。

 

前回少し言及しましたが、使用する3Dモデルは以前切削で作ることを想定していたCADデータを活用します。

データの保存の日付を見ると2019年となっていました。

ついにこのデータが活かされる日が来ました!

 

モデリングはGibbs CAMのCAD機能を使って行いました。

Gibbs CAMは部品加工用のCAD/CAMで、今回のような3Dモデルを本格的にモデリングする用途には向いていません。

しかしもともとが金属の切削加工で作ることを想定していた為、このソフトを使ったわけです。

 

モデリングはGibbs CAMの基本機能であるソリッドモデルの延長、ロフト、加算、減算といった機能を使います。

三面図があるわけではないので、映画本編の映像や設定資料から形状を想像して描いていきます。

減算機能でハッチや貨物室部分を作ります。

別のソリッドモデルでランディングギアが収納されている部分を造形。

主翼はロフト機能を主に使い再現。

作成した各パーツを合わせます。

基本形状が出来たら、各部に細かなディテールを追加していきます。

このくらいまではもともと作り込んでいたものです。

今回は3Dプリンターによる印刷という事で、切削では再現しにくいため省略していた部分を追加でモデリング。

まずは貨物室内のディテール。

さらにプリント用にパーツを分割し、接続用の穴やダボを追加。

こうして完成した戦列艦の3Dモデル。

この戦列艦ですが実際の正確な大きさが良く解りません。

そこで以前製作した1/144スケールのトルメキア軍自走砲を基準に考察することにしました。

劇中、風の谷に侵攻し戦列艦から自走砲が出てくるシーンがあり、その画の両者のサイズ感を参考に。

さらに貨物室を自走砲が2両格納できるサイズとし、全体の大きさを割り出しました。

こうして全長約130mm、全幅約500mmのモデルが出来上がりました。

デザイン的に胴体は寸詰まりで丸っこい機体なので全長は結構短め。

その代わりに主翼は長大です。

この3Dモデルを使い実際に戦列艦を建造していきますよ!

 

実はさらにこのモデルをベースに、気になる箇所に修正を加えたVer.2もモデリング。

変更箇所はキャノピー形状及び操縦室内レイアウトの変更、主翼延長、対空兵装強化、組み立てやすさを考慮したパーツ分割など。

こちらのVer.2も2番艦という事で同時に建造中。

次回はいよいよ3Dプリンターにより建造開始です。

それでは!

 

戦列艦の大きさを割り出す際の基準にした1/144トルメキア軍自走砲の記事です。

よろしければこちらもどうぞ。

トルメキア軍自走砲 ~完成編~

FRI 30 September 2022

3Dプリンターの可能性

日が短くなり、私が出社する時間はまだ夜明け前。

会社に着いて屋上に行くと綺麗な日の出が見られます。

どこからともなく金木犀の香りが漂いすっかり秋らしくなりました。

スタッフKATOです。

こんにちは!

 

私の仕事は金属切削ですが、最近本業とは別に3Dプリンターの運用を始めて思うのです。

切削加工の限界と3Dプリント技術の可能性を。

もちろん相性もあるので、なんでもかんでも3Dプリンターとはいかないでしょう。

しかし、私の趣味の一つである「造形」との親和性は抜群であります。

 

今までこちらのブログでは「金属切削」という技術を使って、昆虫やライトセーバー、戦車など様々なものを作って紹介してきました。

しかしその加工の特性上、細かいディテールの再現、オーバーハングした形状、中空形状などは苦手でした。

それゆえ私の好きな艦船、戦車、航空機といったスケールモデルを切削で作るのは難しかった。

3Dプリンターならこの問題をあっさりと解決してくれるのです!

ということで前回紹介したブラックバスフィギュアの制作を皮切りに、本格的に3Dプリンターによる造形に挑戦します!

 

造形する最初のテーマは既に決まっています。

それがこちら。

スタジオジブリの映画「風の谷のナウシカ」に登場する「バカガラス」こと「戦列艦」です。

過去に切削で作ろうと準備していた3Dモデルがありそれを活用します。

上の画像は作った3DモデルをFusion360でレンダリングしたもの。

こんな感じで再現出来たらいいのですが。

ご期待ください!

それでは!

MON 05 September 2022

ブラックバスフィギュア その2

9月に入りました。

少し前まで青々としていた田んぼの稲も黄色く色づきすっかり秋模様。

スタッフKATOです。

こんにちは!

 

ブラックバスフィギュア制作。

前回は3Dプリンターを用いモデルの出力を行いました。

ブラックバスフィギュア その1

 

今回はいよいよ仕上げ工程。

とはいえ、モデルが完成してしまえば特殊な事は何もありません。

通常のフィギュア制作と同じ。

サポートを除去した後、サポート面及びモデル全体をペーパーを使用して表面処理。

つぎに塗装に備え、マルチプライマーを全体に塗布。

腹側から背側に向かってホワイトをベースに、シルバー、焼鉄色とグラデーション。

クリアイエローやクリアブラウン、クリアブルー、スモークなどのクリア塗装で塗り重ね。

そしてパール系を腹から側面にかけて吹き重ね、最後にトップコートを厚めに吹いて完成。

どうでしょうか?

塗装は全てエアブラシ。

側面の模様はマスキング用のテンプレートをシリコン印象材で自作し使用しました。

頭部が可動し、口を開くことができます。

隙間から見えるエラがポイント。

もちろんこれも出来ますよ!!

と、こんな感じで完成したブラックバスのフィギュア。

お気に入りの作品となりました!

こうして自分でオリジナルのフィギュアが手軽(?)に作れるなんて、本当にすごい時代ですね。

 

現在3Dプリンターモデリング第2弾も進行中。

それではまた!

WED 31 August 2022

ブラックバスフィギュア その1

夏の終わり。

近くの川でタナゴ釣り。

美しい婚姻色に癒されます。

スタッフKATOです。

こんにちは!

 

前回3Dプリンターを導入したことを紹介しました。

大人の夏休み

 

その時、テスト出力として用いたのがブラックバスの3Dモデル。

今回はそのブラックバス3Dモデルを用い、3Dプリンターで出力したモデルをフィギュアとして完成させたので紹介します。

 

まずは3Dプリンターでのモデル出力作業。

テスト時はモールドがわかりやすいようグレーのレジンを使用しました。

今回はフィギュアとして完成させることが目的なので、生体の持つ透明感を出すためクリアレジンを使用します。

早速プリント開始。

しかしこれが難しい。

問題が色々発生します。

 

一つ目はサポート面の荒れ。

1回目は全くプリントされずに失敗。

そこで2回目は露光時間を長くしたのですが、サポート面の荒れがひどい状態。

サポート周辺の盛り上がりと、モールドの潰れなど、綺麗に出力されません。

モデルの向きを変えたり、条件を変えたりしながら綺麗にプリントできないかと試行錯誤。

結局サポート面は後で修正する事を前提に、修正しやすい位置に来るようにして妥協しました。

考えてみれば通常のフィギュア制作でも、表面処理をして塗装するわけですから同じですね。

 

二つ目は2次硬化後の黄変。

出力直後は上の画像にもある通りとてもクリアなのです。

しかし2次硬化させると下の画像のように黄変してしまいます。

クリアのレジンでは良く起こる現象のようです。

今回のフィギュアは塗装前提であり、無色透明である必要はないのでこのままいきます。

ちなみに黄変しにくい事を売りにしたレジンも売っているようなので、いずれ試したいと思います。

 

こうして完成したブラックバスフィギュアの原型。

これを塗装して仕上げていきます。

その模様は次回。

それでは!

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